新海誠監督の「君の名は」「天気の子」に次ぐ話題作「すずめの戸締まり」。
新海監督のアニメ映画では、音楽と映像のすばらしさに定評がありますが、登場人物も魅力的ですよね。
白ネコのダイジンも魅力的なキャラクターのひとつ。
その可愛い見た目に反して、なかなかわかりにくいキャラクターですよね。
物語の中で、ダイジンが何がしたかったのかをつかみきれなかった人も多いのではないでしょうか?
「ダイジンがすずめに近づいた目的って何だったんだろう?」
「ダイジンが可哀想すぎて泣けた」
そんな声もSNSでも多数上がっていました。
この記事では、すずめの戸締まりダイジンは何がしたかったのかということや、ダイジンの目的や可哀想と言われる理由を考察します。
もくじ
すずめの戸締まりのダイジンは何がしたかった?
すずめの戸締りの中で、魅力的なキャラクターとして人気のダイジン。
物語の初めから終わりまで存在感たっぷりですよね。
可愛いんだけど、「いったい何がしたかったんだろう?」という疑問の声の多いキャラクターです。
すずめの戸締まりダイジンはどんなキャラクター?
ダイジンの行動でいちばん意味が分からないのが、草太を椅子にしてしまったことですよね。
すずめが宮崎の後ろ戸で要石だったダイジンを抜いてしまいました。
要石から白いネコに姿を変えたダイジンはすずめのところへ行きます。
すずめの家で「うちの子になる?」と言われたダイジンは嬉しくなり、「すずめ、好き。」と伝えます。
と同時に、すずめと一緒にいた草太に向かっては「おまえは邪魔」と言い放ち、なんと草太をすずめの部屋にあった3本足の椅子に姿を変えてしまいます。
逃げ出したダイジンを追って、すずめと草太の旅が始まっていくわけですが、ダイジンは本当に何をしたかったのでしょうね。
SNSを確認すると、次のような意見もありました。
- 優しくしてくれたすずめを好きになって一緒にいたくなった。
要石の役割も理解していたので草太にその役割を押し付けようと考えた。草太が人間の姿のままだったら、自分がつかまえられてまた要石にされてしまうので、草太の姿を椅子に変えた。 - 要石の自分が抜けてしまったので、早く要石と閉じ師をサダイジンの元に届けたかった。
そうしないと、東の要石であるサダイジンも抜けてしまい、災害が発生してしまうから。
悩ましい存在ですよね、ダイジンって。
すずめの戸締まりダイジンは何がしたかった?
この映画でダイジンがしたかったことは、まず、すずめを旅に連れ出すことなのではないでしょうか?
すずめの戸締りは、すずめという少女が「災いの元となる”扉”を閉めていくための旅を通じて、自分自身の過去と向き合い、成長していく」という冒険物語です。
- 「すずめを過去から解放する」
- 「各地の後ろ戸を閉め災害をふせぐ」
という二つの目的があります。
ダイジンの役割は、この二つの目的を達成するために、まずはすずめを旅に導くことです。
すずめの旅は、ダイジンをきっかけに始まります。
すずめが誤って宮崎の後ろ戸の要石を抜いてしまったことで、要石だったダイジンがネコに変身します。
ダイジンが要石のままでいたら、物語はスタートしませんよね。
ですので、ダイジンが要石からネコに変身したのは、すずめを旅に連れ出す必要があったからです。
ダイジンを追う先々で、すずめたちは巨大ミミズを発見し、後ろ戸を閉じることでミミズを鎮め災害を防ぎます。
これは、ダイジンが後ろ戸のある場所へすずめたちを導いているということではないでしょうか。
その結果、すずめは311をきっかけに封印した過去の自分に対峙することになります。
ダイジンの役割は、すずめを旅に連れ出し、過去の自分から解放することなのです。
すずめの戸締りダイジンの目的や可哀想と言われる理由を考察!
さまざまな場面で、ダイジンはすずめの味方なのか敵なのかわからない言動をとっていきます。
いったいどんな目的があって、そんな行動を取るのか不思議ですよね。
ダイジンの行動の目的について、考察します。
すずめの戸締りダイジンの目的は?
ダイジンの目的は三つあります。
この目的を達成するためにダイジンは次のような行動をしていきます。
- 草太を椅子に変えてしまう
- 草太に要石の役割を押し付ける
- 結局自分が要石に戻る
草太を椅子に変えてしまったのはなぜ?
すずめを過去から解放し成長させるためには、まず共依存の関係にも近い環さんとの疑似親子関係から引き離す必要があります。
すずめは環さんに対して、自分を引き取ってくれたことに対する感謝の気持ちと共に負い目のような感情ももっておりなんとなく遠慮してしまっています。
また、環さんもすずめに対し、深い愛情とともに自分の大切な時間を奪われたような誰にも(自分にさえも)知られたくない感情を持っています。
お互いがお互いに対して複雑な感情を抱いており、素直に大切に思ったり、遠くから見守ったりすることが難しい関係に陥っています。
ダイジンは、草太を椅子に変えることですずめに自分を追いかけさせ、すずめを旅に誘い出します。
結果として、すずめを環さんから引き離すことに成功します。
すずめは、四国行きのフェリーに乗ることになり、物理的に環さんから離れていきますよね。
ダイジンはすずめを環さんから引き離すために、草太を椅子に変えてしまったと考えられます。
そうすることで初めてすずめの旅が始まるわけです。
そして、ダイジンは行く先々で、SNSに自分の姿を載せるようにし、すずめたちに自分の居場所を知らせます。
つまり、すずめたちに行くべき先を知らせているのです。
行く先々ですずめたちは巨大ミミズに遭遇し、後ろ戸を閉じるという戸締まりをしていきます。
このことにより、この物語のもう一つの目的でもある、各地の後ろ戸を閉めること、場所を鎮めることが達成されていきます。
草太に要石の役割を押し付けてしまったのはなぜ?
東京の後ろ戸で、ダイジンが草太に要石の役割を押し付けたことが「意味が分からない」という人が多いと思います。
しかも、ここでは大災害が起こることを楽しみにしてるようなシーンもありましたからね。
結論から言うと、この後ろ戸を閉める旅は東京では終わりません。
なぜなら、すずめを自分自身から解放させるためには、封印した過去に向き合う必要があるからです。
すずめが封印している過去とは、東日本大震災で両親を亡くしていることです。
このことは小さかったすずめにはとてもつらい出来事で鉛筆で黒く塗りつぶすことで封印しています。
過去のすずめは、生まれた家の近くの後ろ戸から、何かの拍子に常世に迷い込み、いまなお母を探し続けている状態です。
この常世に迷い込んだ小さいすずめを救い出すには、はじめに入った扉、つまり東北地方の自分の生まれた家の近くの後ろ戸から常世に入っていかなくてはなりません。
東北地方はすずめにとってはつらい思い出の場所なので、そこに行くためには強い動機が必要です。
そのためにダイジンは草太を要石に変えてしまったのです。
要石になった草太を救うためには常世に入る必要があるからです。
草太を救うためなら、すずめは東北へ向かうことができるとダイジンはわかっていたのだと思います。
結局自分が要石に戻ったのはなぜ?
実際、すずめは草太を助けるために生まれた家に向かいます。
生まれた家につき、自分が過去に入った後ろ戸の扉を見つけた時に、すずめはダイジンが常に後ろ戸のある場所を教えてくれていたことに気付きます。
すずめがダイジンにお礼を言うと、東京ですずめに拒絶され痩せ細ってしまっていたダイジンは元気を取り戻します。
いったんは要石になることを拒否したダイジンでしたが、最終的にダイジンは、再び要石にもどり、ミミズを鎮めます。
ダイジンは草太とちがってすでに神様になっているので、要石になることへの苦痛やこの世への未練はありません。
西と東の要石が必要なこともわかっているので、サダイジンと共に行動していたのでしょう。
ダイジンはなぜ可哀想といわれるのか?
ダイジンをネコとして見ると、「大好きなすずめの子になれず要石にならざるを得なかった」この結末は本当に可哀想なものに感じますよね。
でも、ダイジンはもともとは西日本の災害を鎮める要石でした。
要石を抜かれたことにより、たまたまネコの姿になったわけなのです。
そして、ダイジンの目的は、「すずめを過去の自分から解放し幸せに導くこと」と「各地の後ろ戸を閉じ災害を防ぐこと」です。
すずめを過去から解放させ新しい自分になるように導いてやれば、また自分は要石に戻っていく。
このことは、ダイジンがはじめから決めている事なのではないでしょうか。
ですので、すずめの「うちの子になる?」という言葉が嬉しくてすずめのそばにいたわけではなく、すずめのことが大好きでだから自己犠牲の気持ちから再び要石に戻っていったわけでもないのだと思います。
ダイジンにとっては、すずめを環から離し、旅に誘い出し、すずめが過去の自分を解放することができたら、最後にまた要石の役割に戻っていくことは当然のことなのではないでしょうか。
ただ長きにわたる要石生活に少し飽きていたことと、要石になるまえは子どもの閉じ師だったダイジンがちょっと大好きなすずめに甘えたかったというところはありそうですよね。
すずめの戸締りダイジンは何がしたかった?目的や可哀想と言われる理由を考察!まとめ
すずめの戸締りの中でも、みんなの心をつかんで離さない大きな目が印象的な白猫のダイジン。
愛らしいと同時にとても分かりにくいキャラクターでした。
「ダイジンはいったい何がしたかったの?」と多くの人が感じたことと思います。
ダイジンの目的は、すずめを旅に誘い出すことでした。
実際、逃げ出したダイジンを追いかけたからこそ、すずめは旅に出ることができたのです。
その旅を通じて、過去の自分に出会い、自分を解放し、新しく一歩を踏み出します。
と同時に、各地の後ろ戸を閉じ、災害を防ぐことができました。
すずめのその姿を見届けたら、またダイジンは自分の役割に戻っていきました。
ダイジンは、すずめに保護してもらえなかった可哀想なキャラクターなのではなく、すずめを幸せに導くための守護神のようなキャラクターなのではないかと私は思いました。
この記事では、すずめの戸締りがロードムービーであるという観点から、ダイジンは何がしたかったのかということや、ダイジンの目的、またダイジンは可哀想なキャラクターなのかということを考察しました。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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※本ページの情報は2024年5月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXT公式サイトにてご確認ください。
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